ラノベ形式の画期的な作詞教則本『作詞少女』がすごく面白い

”ラノベ形式”の作詞教則本

買ったのは少し前だったのですが、少しずつ読み進んでいた『作詞少女』を読み終わったので、この場で紹介したいと思います。

僕が買ったときにはKindle版がなかったのですが、Kindle版も発売されたようです。ただ、ぜひ書籍で手元に置いておきたい1冊だなと読んでみてから思ったので、結果的に書籍版を買ってよかったです。

ラノベ形式という点でまず目を引かれるところですが、内容的にも知らなかったことが多く盛り込まれており、かなり勉強になりました。

これから作詞を始めたいという初心者はもちろん、ある程度作詞の経験を積んだ人でもかなり得るものはあると思います。

僕もコンペの仮歌詞などをかなり多く書いてきて、作詞に慣れてきたかなと思っていたところですが、本書を読んでみてまだまだ知らないことだらけだなと感じました。

”作詞は簡単”という誤解

タイトルに”詞をなめてた私”とある通り、主人公のは作詞を甘く見ていたという設定。作詞が(特に作曲と比べて)簡単であるという誤解は確かにありがちで、この設定はものすごく共感しました。

僕は作詞家ではありませんが、曲を生かすも殺すも歌詞次第ということはよく分かっているつもりですから、正直作詞が甘く見られがちな風潮はいかがなものかと思います。

悠に作詞を教える立場となる詩文の、作詞をなめている人たちを一刀両断する発言がまた痛快でした笑。

技術的な話から作家としての精神的な話まで

前半部分は具体的な作詞テクニックの話が中心となり、悠がテクニックを習得しつつ歌詞を完成させていくという話。今まで手探りで作詞をやっていく中で、なんとなくこうなんじゃないかと思っていたものが、体系立てたテクニックとしてまとめられており、腑に落ちる話の連続でした。

作詞がなぜ難しいのかといえば、作詞をするということが”音楽語を話し言葉に翻訳する”作業だからというのはかなり納得のいく話で、僕が作詞の勉強をそれほどしているわけでもないのに、それなりに歌詞を書けているのも作曲ができるからと考えれば自然な話です。

後半部分は、自分にとって耳が痛い話もありました。自分は詩文が揶揄したような”テキトー作詞家”ではないと思いたいところですが、詩文の話を聞いていると自分の歌詞は、どこか上っ面だけで偽善的なところもあるなと、痛感させられます。

コンペなどではあくまで仮歌詞なので時間をかけられないという側面もありますが、作家としてもう一歩深く踏み込んだ歌詞を書けるようにならねばと思わされました。

『作曲少女』も読んでみたくなりました

『作詞少女』の著者、仰木日向さんは『作曲少女』という作品も書かれています。

作曲については今さら入門的なことを学ぶ必要もないかなと思っていたので、こちらを読むつもりは特になかったのですが、作詞少女を読み終えた今、作曲少女も読んでみたいという気になりました。

作詞というテーマだと小説という形式との親和性もあるような気がしますが、作曲というテーマをどうやって小説形式で解説するのか、かなり興味が湧いてきました。いずれ時間をとって読んでみたいと思います。

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